新田醸造について
味噌の可能性を、とき放つ
こちらが2024年に新たに策定された新田醸造のコンセプトです。
味噌をより現代的にアップデートしたい。簡単かつ気軽にお味噌を口にして頂ける商品やレシピを作っていきたい。発酵食の素晴らしさを発信していきたい。
そんな想いを込めてこちらのコンセプトを採用しました。
味噌は、発酵する時間とともにゆっくりと変化し、深い味わいを生み出します。信州の木々が囁き、千曲川が静かに流れるその傍らで、私たちはこつこつと味噌を作り続けてきました。
新田醸造は江戸末期に北国街道の上田宿と坂木宿との合いの宿であった「鼠宿」において新田 甚左衛門(にった じんざえもん)が立ち上げた商店が前身だと言われています。
新田家の旧庄屋屋敷の屋根裏に、屋敷建造年が書かれたお札が置かれていたということから口伝では安政2年創業と言われていますが、当時の記録はあまり残っておらずいつ商売を始めたか正確な時期は分かっていません。
戦後、4代目店主の新田 信吉(にった しんきち)が新田醸造を継いだときは、細々と味噌と醤油を売る小さな蔵でした。信吉が1954年に「信州白樺印みそ」の源流となる味噌を開発し、以後は味噌の製造に一本化。1978年に法人化。現在は信州、その美しい風土の中で育まれた味噌製造の伝統を、IT業界出身の若夫婦(6代目)を中心に現代のビジネスモデルへと昇華させる試みに取り組んでいます。
新田醸造のお味噌の特徴
一般的な信州味噌は大豆、米、塩を主原料としていますが、新田醸造のお味噌には大麦も原料として少しだけ加えています。大麦が麹として加わることで、大麦特有の香ばしい味わいやほのかな甘さが加わります。
また看板商品の「信州白樺印みそ」は異なる種類の信州味噌を合わせて造られています。味噌はそれぞれ異なる風味、香り、質感を持っており、これらをブレンドすることで一つの味噌では得られない複雑で豊かな風味を作り出すことが可能となります。
信州白樺印みそは、4代目の新田信吉が試行錯誤を重ねた末に「香りの高さ」「溶けやすさ」「旨味」の黄金比率に辿り着いた、当社が誇る極上の合わせ味噌です。
木桶仕込み
新田醸造の味噌づくりでは、100年以上使われている木桶で仕込んでいます。
「木桶仕込み」は、日本の古くから続く伝統的な製法です。木桶を使用することで、味噌の発酵過程が自然な環境で進むため、独特の風味が生まれるとされています。木桶は通気性が良く、また木の成分が味噌に微妙な風味を加えるため、この方法で作られた味噌は深い味わいと独特の香りを持っています。現代ではFRP(繊維強化プラスチック)のタンクやステンレスのタンクを用いた製造が大多数を占め、木桶仕込みは全体の数%程度の製造量と言われています。
木桶には、耐水性や耐久性に優れた木材が使用されます。時間が経過するにつれて、木材は微生物と相互作用し、独自の風味を醸造物に付加します。
新田醸造の木桶の木材には「杉の木」が用いられており、6トン桶を7本、4トン桶を5本、2トン桶を1本、それぞれ保有しています。蔵では自由に見学が可能ですのでお気軽にスタッフまでお声がけください。
100年以上の歴史を持つ木桶は、単なる容器以上のものとなり、その地域や文化の一部を形成していると言え、日本の伝統的な木桶仕込みの味噌は今なお特別な評価を受けています。
天然醸造
「天然醸造」は、発酵プロセスが人工的な添加物や化学物質、または加温設備を一切使用せずに、自然の条件下で行われます。
天然醸造では、製品が成熟するまでに長い時間がかかることが一般的です。この長期間にわたる発酵プロセスが、製品に深みと複雑さを与えます。
温度、湿度などの環境要因が発酵過程に大きく影響し、同じ製法でも年によって異なる特性を持つ製品が生まれます。
天然醸造によって作られる味噌や醤油などは、自然の力を最大限に活用するため、食品の風味を引き出すだけでなく、日本の食文化のなかでも文化的・歴史的な価値も持っていると言えます。